平成29年税制改正で恐らく最大の改正ポイントの一つになるのがこの「中小企業経営強化税制」であると思われます。これまでの中小企業投資促進税制よりも適用範囲が拡大しているため、これまで中小企業投資促進税制と無縁であった企業にあっても、新たに編成された「中小企業経営強化税制」の適用の可否をよく確認しておく必要があるものと思われます。
この中小企業経営強化税制は従来の中小企業投資促進税制の上乗せ措置を独立の制度として改組したものです。

(1)本税制における中小企業のメリット
  特別償却:即時償却
  又は
  税額控除:7%(特定中小企業者は10%)
  の選択適用

(2)適用要件
@青色申告書を提出する中小企業者等であること。
A生産等設備を構成する機械装置、工具(測定工具及び検査工具のみ)、器具備品、建物付属設備、ソフトウェアで、かつ、「特定経営力向上設備等」に該当するものであること。
※特定経営力向上設備等とは、中小企業等経営強化法で規定される生産性向上設備収益力強化設備であり、かつ、経営力向上に著しく資する一定のもので、その法人の認定を受けた経営力向上計画に記載されたものを言います。
   具体的には↓をご覧ください。        
特定経営力向上設備等
※生産等設備でなければならないため、例えば事務用器具備品、本店、寄宿舎等に係る建物付属設備、福利厚生施設に該当するものは対象外となります。さらに、医療用機器も対象外となります。
B一定の金額規模以上のものを取得すること。
  (上記図表参照のこと)
C国内の指定事業の用に供すること。

(3)適用期間
 平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に事業共用したもの。

(4)留意点
  本制度を適用するにあたっての最大の留意事項は、従来の中小企業投資促進税制と異なり、取得した後、要件の適否を検討するという後付的な検討ができない点です。つまり、あらかじめ、A類型であれば工業会等からの証明書の入手や経営力向上計画の申請・認定を、B類型であれば経産局による投資計画の確認や経営力向上計画の認定を、それぞれ資産の取得に先行して行っておく必要があります。

(5)従来の中小企業投資促進税制の今後の取り扱い
 従来の中小企業投資促進税制については、対象設備から「器具備品」を除外した上で、適用期限を2年間延長(平成31年3月31日まで)することとなっております。